渋谷駅に恒久展示されている 岡本太郎の大壁画「明日の神話」に、福島の原発事故を思わせる吹っ飛んだ建屋を描いた絵のベニヤ板が横に付け加えられていて、展示されていたという。
一瞬、ヒドイ!落書き?!と思うニュースだが、よく見ると もともと絵の無い壁に仮設で貼ってあるというつくりで、絵そのものに加筆しているわけでもなく、汚したりもしていない。「明日の神話」自体が第五福竜丸が水爆実験で被爆したときの瞬間描いたものだというのだから、ここに原発事故の絵を持ってくるのも頷ける。
水爆実験と原発事故は異なる問題で、ひとくくりに語られるのはおかしいという意見も出るだろう。それはマイナスイメージを懸念した政治的な判断でしかない。絵はそんな小さな位置づけに扱われるものではなく、同じ核技術から始まっていることを大きく見ているものだ。惨事から立ち直る人間の姿を描いているというのなら、原発事故も同じこと。もっとも、この絵はただ明るく前向きな姿を描いているのではなく、思いあがった科学文明への警鐘と自然への畏敬を込めて苦悩を抱えた絵だろう。
明日の神話は、制作年を備えて過去のものとして存在するものではなく、本当に明日の神話を語る為、今日にあるものだ。
こういったアクションが呼び起こされること自体が、岡本太郎の芸術が持つ力であり、今日に生きている証拠だと思う。
かつて大阪万博のときに太陽の塔に上った男に対し、唯一賛辞を送ったという岡本太郎。
分かった。
この福島原発事故の絵を貼ったのは、岡本太郎だ!
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