火曜日, 8月 08, 2006

見るもの全てが開放的で美しい

滞在するアパートは所謂公団住宅というもので、ブレーメン市内からは少し離れたところに位置している。四棟に一部屋ずつ、我々は分かれて住むことになった。
帰国日の関係でそれを調整し、僕は谷澤氏との二人暮らしとなった。田中さんも同じ帰国日なのだが、女性なのでという理由で落ち着く。一部屋の中に廊下があって各個室は区切られている構造になっている。この部屋が全て真っ白の壁で、大きな窓を持ち、家具ひとつ何もないのだから、完全にホワイトキューブである。目覚めたときは人体実験のような気持ちだった。ギャラリーで気が狂っていく若き美術家はついに寝泊まりまで行ってしまう。なんて、何を置いても、タオル掛けにタオルを掛けただけで、それは作品のように見えた。自分の現代美術病を自覚する朝だった。
全員、マルグリットの家にお呼ばれになって昼食会。開放的で美しい空間に溜め息が漏れる。スケジュール表に各種サポートチケットなどが配られる。それからは市内の買い物スポットを案内してもらう。解散後に真坂氏、福岡氏、谷澤氏、マルグリットらとでベザー川の堤防に向かってビールを飲む。ビールの銘柄はブレーメン発で一般普及している「BECKS」だ。緑色の小振りな瓶が、ソウルで普及していた「ソジュ」を思わせる。日本にこういうの無いなぁ。後は何を話したのか。ただ、堤防の草原は最高に気持ち良いけれど、ときどき注射の針が落ちているときがあるから気をつけてと言われたことはちゃんと覚えていた。川の向こうにあるブレーメン空港に飛行機が着陸していく光が見てとれた。