金曜日, 1月 07, 2011

テキストを君臨させておくことで

レイトショーにて「ノルウェイの森」(監督, トラン・アン・ユン/松山ケンイチ、菊池凛子、水原希子/2010)を鑑賞。今年初めての映画館だ。

昨年末の公開初日あたりに春日井での展覧会に来てくれた友人カップルらが、皆こぞって これからノルウェイの森を見に行くと言うので、みんないやらしいなぁと冷やかしていた。
実は見に行きたくて羨ましかっただけである。
いろいろ辛辣な感想も見聞きしていたが、僕にはとても良い映画に感じられた。

原作のテキストを君臨させておくことで、逆に自由に画を撮ることができている。
台詞の棒読み感や、文語体。それらの不自然めいた劇を、印象の強い画に焼き付けていく。
かろうじて物語りに辻褄があるところと、洗練されながらドロドロしている欲望感が渦巻いてくる。強い風が吹く。
生と死を軽々しく語る彼らは、語ることでしかそれに近づけない。
直子の死の後に、涎と涙が混じる崖と、超えたはずの闇のエンド。
飛行機の着陸時に流れるノルウェイの森に頭痛がはじまる「僕」は。

http://www.norway-mori.com/index.html