土曜日, 2月 02, 2008

詩人の仕事 for fashion

思いを思いのままで他者に差し出すことはできない。
思いは一度何か「もの」に変換されアウトプットされてはじめて他者の思いになることができる可能性を持つ。
変換された「もの」を前にするのは、相づちを打つためではなくて、きっと憧れたり羨ましがったりしたい気持ちからではないか。
今晩、介した一同は他者のふりをして おめかしをする彼女を見上げていた。坂が入り組んだこの町はどこか故郷の港町と似て非なるのかどうなのか、吹き荒む風の冷たさ故か、画面のコントラストが 強い。小さな部屋がいちばん温かくなりやすいから、そうそれはまるで温室で、ワインやケーキを味わうには適していた。手紙とビデオは、達磨ストーブの前に 置いておいたから、温室で意味を忘れようとする色の流れで起こっているそれは即ち絵を見て過ごそう。介した一同はまだ他者のふりに徹することができない。
おはようからおやすみまではライオンの仕事なら、おやすみからおはようまでは、誰の仕事だろう。
寺山修司の本に現代詩は「おやすみ」ばかり語っていたとあり、そこにはじめて「おはよう」を言い出したのは、詩人の誰それと言うより事件であった。谷川俊 太郎、その人だと。だからその仕事はこれからの仕事。思いを眠りにつかせるのではなく、思いを目覚めさせるために。ここに介した一同が他者になるかどうか も、思いの動きに係っている。
おめかしからキスをしそびれた帰りまでを、誰もが語りたくてしょうがない。

常滑のギャラリー rin にて、伊藤良江さん「ヴェール」、永下山由香さん「逍遥」、川口淳子さん「wiederholung」、それぞれの作品を見た。オープニングパーティにあわせて 河村るみさんがパフォーマンスを行った。

http://www.rin2005.com/blog/schedule/index.html