日曜日, 7月 10, 2011

団扇のひとつ受け取ってくれたっていいじゃんという空気

西陽が殺人的に強くて部屋が熱される。猫の鬱が外に出て、玄関先の日影で寝転んでいたまでは確認していたのだが、三十分ほどしても帰って来ず、参った。出かけられないと苛立っているところに空腹なので、止むを得ず戸を開けたまま出た。
駅向こうのスーパーへ徒歩で向かう。立体橋のところで空港利用促進キャンペーンをやっていて五人の隊列が団扇を配っている。団扇と言ってもボール紙を円形に切って、持ち手の円をくり抜いてあるイベント用の団扇だ。
懸命のアピールにも関わらず断る。スーパーで買い物を終えてからの帰りにも 隊列の前を通らなければならない。遠回りして違う道で帰ろうかとも考える。それだけの為にこに炎天下を長く歩かなければいけないなんて、負けたようで腹立たしい。そうすると、公的な顔をしているが、キャンペーン自体が図々しいものだなとも思えてきた。空港を使おうと言われて 使うものだろうか? キャンペーンの対象は 出張などで 新幹線か国内線 という選択肢の起こる人だろう。駅で訴えかけるより、もっと効果的にピンポイントな動きはないものか。
などと言ってくる人も居るだろうなぁと立体橋へ。
頭を下げて通り過ぎる。団扇のひとつ受け取ってくれたっていいじゃんという空気。こんな地方の駅前に陣取ることがキャンペーン隊の判断ではないことは分かっている。県の雇用促進事業で進められている仕事だ。もしかしたら自分がそこで声を上げているのもありえた。
猫の鬱は 部屋に帰ってきていた。フローリングの床にへばりついて溶けていた。