月曜日, 9月 18, 2006

帰還

「日本へ旅行する」と言って僕はみんなと別れた。見送りに来てくれた皆とハグをして、握手をした。
嘘みたいに飛行機は空に浮き上がり、僕ら(僕と谷澤氏と田中さん)はバラバラの席に座った。フランクフルト空港ではまったく時間が無く、買おうと思っていた免税チョコが買えなかった。いろんなものを鵜呑みにし過ぎていたようである。昨晩、マレーナが話してくれた「TOKIO HOTEL」というドイツ版ジャニーズJr, が載っている雑誌を買う。紙媒体ばかり買っていることに気付き、寂しくなる。

国際線の機内で、横になったドイツ人のおじさんと話をした。相当に込み入った個人的な話までしてしまった。英語を使いたくて仕方がなかった。おじさんはとても優しく、ライターを生産している日本企業のドイツ支部局長らしかった。ビジネスで一週間ほどの滞在らしい。日本人とは会議が難しいんだという話に笑った。彼らは何でもすぐに決めることができないとおじさんは言った。
笑顔で別れることができて、僕はおじさんが眠っている間に「ダビィンチ・コード」(監督,ロン・ハワード/トム・ハンクス、オドレイ・トトゥ/2006)を見ることもできた。充実したフライトだった。機内食で食べた白米に、ほろりときて、終わりの食事はドイツ料理風というのも演出が効いていた。

成田で田中さんと別れる。谷澤氏と二人で小さな飛行機に乗り込む。機体までは送迎バスに乗って向かう。上空から東京湾に東京が見てとれた。平日の夕方、雲は木曽山脈のほうから流れてくる。台風は反れていってくれた。皇居のところだけ黒く見えた。あの街に大勢の人々が居て、あの仕切られた空間に天皇が居て、これから向かう街に彼女が居て、いままで居た国にまたみんながいるのかと思うと気が遠くなった。

中部国際空港の出口で彼女を抱きしめた。
僕たちは信じられない世界に居る。全てが奇跡の産物だった。