木曜日, 6月 14, 2007

乙葉と短歌と実験映画

早朝の NHK短歌に、ゲストで乙葉が出ていて、司会のアナウンサーも選者の先生もデレデレだった。日常会話も文語を使えば楽しいですよ「渋谷へ行きにけり」と、短歌オヤジギャグも飛び出して、始末に負えない。短歌の世界がどうとかの問題じゃないものがここには蔓延っているようで、呆れて笑う。

愛知芸文センターで行われているテーマ上映会「実験映画とドキュメンタリーの愉しみ」を見に行く。
連日プログラムで、今回はナム・ジュン・パイクとビル・ヴィオラを二本ずつ。
ナム・ジュン・パイクは、激しくて遊び心満載なんだけどテーマがマジで、イッチャッテル・ドキュメンタリーだ。七色に光りながら朗読するギンズバーグが凄い。無邪気にビデオいじくって、人種とか侵略とか階級とか蔓延るものを嘲笑するような、でもその画は見捨てているわけではなくカウンターにエネルギッシュ。
ビル・ヴィオラは、無骨で純粋だ。ディゾルブとか、手荒なズームインとか、ベタで禁じ手のような加工は死んでいない。作り手の意図が剥き出しになっているとき、手段で判断することはナンセンスだ。
分かっているから撮れるのか、分かりそうだから撮ろうとするのか、何も分からずに撮れるとは思っていないはず。いや、分かる瞬間に撮れているのではないか。

力んだ感じがしないものは、最初から気楽なのではなく、葛藤の後に流れてくる間のように思う。そこだけを抜き取って見せることができれば、いともたやすくできたかのように、その表現が黙っていても伝わるのではないか。

http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/jishyu/2007/jyoei/index.html