水曜日, 6月 20, 2007

zero はこの国での風

フィーリングが合わない部屋では
僕の声を聞き取ることができない女がいる。
だが彼女に預けた半島は
たったいま、波打ちぎわで
頬を冷ます
風を待っている。
それはどこで見れたの?彼女は聞き返した。
面倒だねということだけ確認して、階段を上り、試供品で配られていたコカ・コーラzero を飲み干す。
黒い缶を投げ捨てる。

やがて演奏がはじまり、拍手が向けられた。
僕はネクタイを外すべきではなかったと後悔してみた。
落とし物を呼び止めてくれた高校生に
礼を言って、
失われたものに手をかけることができた。
額縁屋に行くのは儀礼的で、本当はハンバーガーなどをたらふく食べたいだけの、男であった。
彼女はコンビニでお金を使うための本を読みふけっている。
僕の部屋では、
キジとトラジマによる混血の猫が
虚空を見ている。
それについてを語る術を、今夜持ちたい。
男の願いはまたもや
仕様も無い。
彼女との確認が
一手と数えられる前に、
黒い缶を。