「監督・ばんざい!」(監督, 北野武/ビートたけし、江守徹、岸本加世子、鈴木杏/2007)を鑑賞。
この「ばんざい」は 自信を持って胸を張った「バンザイ!」でも、連帯させ鼓舞する「万歳!」でもない。
狂った先に一人になって、哀しくても可笑しくやっていく「ばんざい!」だった。
「TAKESHI'S」(2005)が「鬱」で、本作は「躁」だ。
狂気は躁鬱を経て、平穏ではなく、自らの胸を開いていく。
全編に満ちている崩壊をたくわえた姿。フィットするのはバイオレンスだった。その型を封印し、ひととおり形式をなぞったあと、モゴモゴと暴れはじめる。どこにも着地できない自我を開いていく。
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