火曜日, 5月 06, 2008

泣かない女はいない

文庫本の表紙全面に水色の写真があり、明朝体で「泣かない女はいない」と書かれている。
「泣かない女はいない」(著,長嶋有/2005)の文庫がそれだった。
先日、ブックデザインの特集雑誌で村上春樹の中国行きのスローボートの文庫本デザインが紹介されていて、前からあの文庫はすっきりしていて良いなと思って いたのと重なったのでそのデザイナーへのインタビュー文を読んだ。この長嶋有の優しい本にも、優しく同じ息づかいを感じさせる文庫デザインが施されている と思う。
ありがちな内容の紹介文のようだが、この春から新社会人になった方々へ、かつて新社会人であった皆様へ、会社の日々は愛おしい。か。主人公が女性だか らと言って女性向けというような狭い範疇の小説ではない。なんでもないシーンに泣いてしまう話である。仕事で出会ってきた人々の顔ぶれを思い出す。他の同 僚はみんな B'z とかで騒いでて、自分だけが洋楽聴いてて、小学生のときの体験を根っこに意識していたりとか、そんな関係に頷く。
余談だが、著者の長嶋有は コラムニストのブルボン小林でもあって、いつもその趣味趣向に感銘を受けてしまう。本書にもそんな囁きが見え隠れしており、全体を包む独白感を強調していると感じた。

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