火曜日, 2月 10, 2009

あなたはいていい。あなたのために。

よく寝た。
朝に時間ができたので「バッシング」(監督, 小松政広/占部房子、大塚寧々、田中隆三、香川照之/2005)をDVDで見た。

ごまかしのきかない演技が要求されるところへ、俳優を持って行っている。そして強靭な存在感を持って画面に立っていた。この映画はすごくいい。すごくいいと連呼した。
とんでもないことが起こっても、倒れた自転車は起こさなければいけないし、コーヒーのお湯も沸かさなければいけない。その為にヤカンに水道水を入れる場面などが描かれる。現実はどうしようもなくただそのままだ。ドラマチックに省略はされない。むしろ、ただそのままの動作から本質的なものが示されてくる。
弱者からの視点を発端にしている映画だが、描き方は単に一方的ではなく豊かだ。

小林監督のことをはじめて知った。主題歌もすごくいいので、歌手名は林ヒロシとチェックしたら、小林監督のフォーク歌手としての名前だった。
映画も歌も、受け手へ投げられるボールのありかた、メッセージと言われるであろうものが爽やかだ。理屈や説教を超えて、とても深淵な意識に伝わっていく。そこまでの過程が丁寧に順を追ってくる。ゆっくりと階段を上るように。
それは一番、二番と追っていくフォークソングの歌詞の構造に由来していると思った。

あなたはいていい。あなたのために。
ただ、いまここにある世界のこと。
それでいいんだよと聴こえてくる。

http://www.youtube.com/watch?v=uzqdRC3k3UY