土曜日, 6月 12, 2010

OUTRAGE だコノヤロー!

高層ビルの上にある映画館でレイトショーの回、「OUTRAGE」(監督, 北野武/北村総一朗、三浦友和、國村隼、杉本哲太、ビートたけし、椎名桔平、加瀬亮、石橋蓮司、中野英雄、塚本高史、小日向文世/2010)を見た。

上映前の座席でずっと携帯を鳴らして喋っている客がいて、マナーが悪いなぁと思ったら 金を返させるだの頭を下げるだのと聞こえてきて、振り向いたらパンチ頭のヤーサンではないか。本物来とるやん・・とおっそろしくなる。なんだこの映画はなめてるのかたけしコノヤロー!と上映中に声を荒げないかと不安を抱えつつ開始。

残忍さと可笑しさの間に震え、おそらく本作は豪華な俳優陣と鈴木慶一のダウナーな音楽も相まって、以前のたけしのバイオレンス映画の、たけし軍団と久石譲という優しみのある爽やかな要素が無い。欠落ではなく変容だ。薄気味悪くまとわりつきながら惹き付けてくる。
どうしようもなくなっていくなかにある美学は、死に方だ。俺の映画では殺した者は殺されるという発言を監督がしていたのを思い出す。
不器用さや静観さ散るが、悪賢さは達観のなかに落ちるのか。

バイリンガルでありながら、劇中では「OUTRAGE」とのみ表記されていた。
「OUTRAGE」には非道のみでなく、人を荒らし侮辱する行為という意味もあるようだ。
「アウトレイジ」ではなく「OUTRAGE だこのヤロー!」と頭の中で叫びながら帰りのエレベーターに乗った。ヤクザの方は上映後にはいなかった。

http://office-kitano.co.jp/outrage/