それからスーツのアウトレット工場に行って黒いのを買った。
自分のこれまでを映画にすることはない。
土埃の匂いを嗅いで思い出すところは幾つかある。実家の傍にあってよく弟と遊んだ納屋や、bnap のときに動いた味噌蔵。重労働か、知的労働か、口だけでは進めないこともあったと思う。
スーツの回数は少ないほうだろう。
春日井市で行われている 真坂氏と西山氏の二人による企画展「for example」を見に行く。開館前に近くまで来たので、ケンタッキーフライドチキンを食べる。店の外から涎が出てくる匂いで充満していた。
「for example」はモデルハウスで行われるというもので、二人のインスタレーションが居間や台所、風呂場に広がっていた。このまま少し住めたら面白いなと思って、このまま家と作品と一緒にパッケージして売るってのはどう?なんて話す。
「例えば」と「このまま 」、これは高度な言葉遊びだ。
これはシーソー?比べるのではなく、重さに任せて向かうこそライフ?
例えば黒いのを買わずに、裸で試着室から出てきたら誇り高く遊べた?
このままカタギに戻らなかったら、チキンのままかと。
いや舵を切る。
それから二人は ばらばらで、ときに車に乗り合わせる。
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