土曜日, 6月 21, 2008

騒ぎ

バスに乗っているとき、こんな騒ぎはもういやだと思った。
電車に乗っているとき、いつか騒ぎは終わると思った。
走り回っているとき、もう騒ぎはやめようと思った。
弁当を食べているとき、騒ぎを返上したらどうしようかと思った。
頭を下げているとき、騒ぎも過ぎれば力になると思った。
タイを外しているとき、騒ぎの姿など見たくもないと思った。
魚の煮付けと南瓜の竜田揚げを食べているとき、騒ぎはおさまっていた。
コーヒーを飲んでいるとき、騒ぎがたいへんだと話した。
雑誌を広げている彼女を見ているとき、騒ぎがもたらすものを思った。
エレベーターに身を預けて手を振ったとき、騒ぎはゆっくり帰ってきた。
車窓に自分の顔を映したとき、騒ぎとやっていくしかないと思った。
届いていた封書を開けたとき、騒ぎに向かいたくなった。
すぐに電話をしたとき、騒ぎは賑やかな音を立てようとしていた。
シャワーを浴びていたとき、騒ぎは汗の姿をしていた。
振り込み用紙を剥がしたとき、騒ぎは窮屈そうに僕を見てきた。
やがて布団に入るとき、騒ぎはきっと夢のなかにまで入ってくるはず。
僕の仕事は騒ぎが楽しくなるようにすることだ。
夢想めいた未来にあばよう。
そして騒ぎを遠くから見る。
本当はすぐそばに座っているのだが、同じところにいると見ることができないのだ。