金曜日, 12月 26, 2008

ロック誕生

「ロック誕生」(監督, 村兼明洋/監修, サミー前田/内田裕也、ミッキー・カーチス、近田春夫/2008)に上映時間ギリギリで駆け込む。
しかし、前半に流れる70年代当時のライヴ映像が、流れている曲を演奏しているものではなく見所的なクリップを詰め込んだものなので、画面と音楽が合っておらず、その時点で嫌な予感がする。サービス精神に溢れてはいるが、この映像感覚はまずいと。
その予感は当たっていた。ロックを日本語で歌うことは可能か否かという論争の話など、撫でるだけの印象で進む。初めて知る者には分かり難く、知っている者には物足りないのではなかろうか。これを入り口として広くて深い日本の元祖ロック世界に触れていってほしいという趣旨もあるだろうし、一時間半足らずで全てを補完することは困難だとは思うがどうも歯痒い。
英語で歌うことで欧米に評価されなくては日本のロックの誕生は無いと信じた内田裕也と、日本語で歌うことを貫いた はっぴいえんど、遠藤賢司。どちらも誕生とそこからの波ではあるが、この映画は内田裕也を主にして語られているため、例えばジャックスの存在などは出てこない。時代背景の描写もイメージ映像だけで考察に乏しい。もっと深く突っ込んで訴えてもいいのではないかと思ってしまった。
前述の通り、この映像感覚は当時の素材を多く紹介するというサービス精神を基にしていて、異なる意見を挟もうとはしていない。言わば、DJ感覚だ。監修のサミー前田は昭和歌謡やロックを回すDJである。流れるロックはどれも格好いい。

近田晴夫のインタビューに一番しびれた。
アングラなだけじゃだめ、貧乏臭いから。メジャーなだけでもビジネスライクだからだめ。その二つが共存する瞬間があるんだと。

http://www.rock-tanjo.jp