大長編ドラえもん「のび太と鉄人兵団」(原作, 藤子不二雄/監督, 芝山努/1986)のように世界がひっくり返っていた。携帯が手元に無くて、誰かからの言葉を読むことができない。いまにも迫撃がはじまってくるかもしれない。日中でも夜中でもおかまいなしだ。布団が崩れた間に隠れて、一人ではキスができない。机の下で見えない白旗を上げる。財布は机上に放置してある。頭が優れ、考えること、していることの全てに頷き、この部屋から出ようと思った。そう、世界がひっくり返ったとしても、同じ返事をしている。あの頃はマシュマロが好きだったとかそんなことだけ頭に残るものだ。