日曜日, 7月 01, 2007

単なるハコではなく

昨晩は +Gallery にて 「 JICPB Cube Gallery」プロジェクトの展覧会、「キューブ・レトロスペクティヴ」を見た。
透明な箱から解き放たれた(?)作品らは、バリアのように周囲の空間を立方体に意識させる要素を持っているように思えた。そこにあったものなんだという前提を知っているから かもしれないけれど、そうすると見えない箱はけっこう大きく感じられる。
「JICPB」という名前は、それぞれの町の頭文字を取ったもので、このプロジェクトは、それらの町の立方体を空間移動していく。
今回の展覧会は、いままでの日本作家(一宮市の "I")をレトロスペクティヴしていたが、webサイトや資料で他の町に置かれた立方体を見ると、この作品がそのままその空間だけワープしていくのだなと、想像できて面白い。
作品を取り巻く環境が、一変するだけで新鮮だ。
いまや当たり前のように行われている美術館での巡回展には、サービスとしての便宜性しか思わなかったけれど、展覧会や作品は、文化や意識をひっさげて 環境を行き来しているんだなと思い直す。
美術館は透明な立方体ではなく、単なるハコで、環境の違いを遮断する要素も持っているけれど、そこを解体していけば、新鮮なロードムービーに映ることができるなと思う。

だとすると、小説や詩などの言葉による表現が環境を行き来することは、一般に翻訳することで行われるのだけれど、それは遮断するものを持っている。どの言語に乗せるかということを、本とか声とかハコとか媒体の違いと同じく捉えることで、単なるコピー&ペーストに取られない構造にできるだろう。

作品の交換はもっとダイナミックなもので、何の感慨も無く行き来するのは WinとMac 間のデータ交換であればいいんでは。いや、それこそダイナミックか。

http://homepage2.nifty.com/cube_project/indexes/cube_index.html