日曜日, 9月 28, 2008

僕らは知らない

誰もいないところへ行くと彼は言う。
誰も止めないだろうと僕はうつむく。
彼の前には雨が降る。
傘は誰かの忘れ物だから、持って行けばいい。
誰にもさよならを言わずに行く柄でも無い。
僕らは知らない。
知らないから笑っていられて、知ることの怖さも恐れない。
素直過ぎて残酷だと、一拍置いて話された。
ごめんしか言わないのは癪だと思っているあたりが何の反省も無い。
誰にも気付かれずに、どこかへ行くなんて実はできない。
誰も止めないだろうと僕は続けた。
うつむいた先には、瓶ビールの空。
僕らは知らない。