手塚治虫の鉄腕アトムは、アトムだから原子力発電推進派だと語られるくちがあって、そうなのか?と疑っていた。少なくともアトムは科学文明との苦悩を持っていたはずだった。時代背景として原子力とは人間が太陽を持つことができると信じていた時代はあるとは言え。
高野寛のツィートで、「図説・危険な話」(COMIC BOX 誌増刊 ふゆーじょんぷろだくと/1989) がネットに載っているのを知る。
チェルノブイリ原発事故が起こってから三年後だ。生前の手塚治虫本人に直接インタビューをしたもの。「ぼくも原発に反対です。」とある。
原発推進にアトムが使われた漫画のパンフレット「よみがえるジャングルの歌声」は不本意なものであったことが判明。これはすごい記事だ。
ただ、まだできないであろう核融合エネルギーには希望を託すという、やはり原子力に希望を見ていた時代であるのは否定できない発言もあった。それをまたアトムで描きたいという考えは、またやり直せると考える科学への希望観と繋がっているのだろう。
チェルノブイリ時代の日本での危機感と、いまの福島原発事故から感じている危機感は違うから。いま手塚治虫が生きていたら、また違うことを話し、アトムをこう動かしたい、ああ動かしたいと話すように思う。その思いのままの、まだ整頓はされていない状態を記した貴重なインタビューである。他の記事や漫画もすごい。何も変わらない気がしてくる。
http://www.laputa-jp.com/school/kikennahanasi.html