火曜日, 10月 07, 2008

芸術の柄

ぼんやりと「アキレスと亀」の場面を思い出す。途端に死んでしまうこと。またすぐに諦めること。弱さと崇高さ。あの残酷な物語は夫婦愛でもなく、身勝手な画家を志す、甲斐性のない男の話だ。
芸術とは何だと暴れる日々もどこかで醒め、財布の中に何も無ければ絵の具ひとつ買えない。電気が止められてしまって、何も書けなくなる。ああいやだ。そん なのはいやだよお。という苦しみから、逃れる方法がただ就職しろとかそういうふうにも思えずにいる。どっちつかずで、あっちへふらふらこっちへふらふら 行っているようじゃあ、絶対にだめだ。縛られたいならMですと公言し、詩を書いているなら詩人だと名刺に刷ろう。あの世に逝ってしまった人たちのことは、 知っているところまでしか言えない。むごたらしい方法で生き延びている奴のことは、いくらでも馬鹿にできる。馬鹿にしたあとで、いつかどつきまわされる。 ペィンティングナイフで刺されたら痛くて、そのままうずくまると思う。それはさけないと。世界では祝杯と暴動が起きているようであり、体内では衰退と欲望 が渦巻いているのである。泣き言は言わない。全てそのままのシンプルな構造に落とし込むことを、ただ私が成せるかである。絵を描いたり詩を描く時間がまだ こんなにあるでしょう。