「ツィゴイネルワイゼン」(監督,鈴木清順/原田芳雄、藤田敏八/1980)をビデオで見た。
二人の男は欲望と知性の存在だ。相反しながらの交友は命を懸けて艶かしい。
「俺がまともだったことなど、産まれてこのかた、あったことがあるか!」
叫ぶ男の影が恐ろしい。
女の生き死には、もっと恐ろしい。
演奏中に吹き込まれてしまった言葉を、聞き取れない二人の男は、そのSPを貴重だと滑稽に悩む。
生き死にを分け合った二人の女も、そのSP を返してと滑稽に悩む。
舐められた眼球は痛い。
ねっとりと、光と影による川の前だ。
はたして何と言っていたのか。
飲んで、起きてヨガをやった。
なのでか、身体が軽く、嬉しい。
部屋掃除をしながら、考える。
迷いはないが、声と光が、どこまで届くかが不安だ。
そして映画を見てから、
不安そのものを見る。
まだ見ぬ空間、そのもの。
温かさを以て。
http://www7.plala.or.jp/tenderness/cinema-4.html