水曜日, 10月 03, 2007

苦い薬を飲んでくれた

「太陽」(監督,アンドレイ・ソクーロフ/イッセー尾形、佐野史郎/2005)を DVD で鑑賞した。
昭和天皇 裕仁をイッセー尾形が演じ、無条件降伏と現人神宣言へ至る決断の姿を、賛美でも侮辱でもなく、静かに描く。
ここにあるのは劇的な演出ではなく、日常の生活感覚で息をしているだけという「天皇として生きる人」である。
日本人の精神構造、即ち国の社会構造がまざまざとある。
天皇と付き人の会話、マッカーサーとのやり取り、軍部からの報告、皇后に引き寄せる手。あらゆる場面がそれを持っている。

ノンフィクションを基礎としながらも、想像を巡らせた心理描写をふんだんに取り入れているバランスが秀逸で、素晴らしい。
ロシア人のこの偉大な監督の映画を見るのは初めてだった。映像の質感や構図、間、音楽の使い方など、あらゆる面で造詣が深く、気品高い。

玉音放送は、澄み渡った声で響いた。

http://sokurov.spb.ru/island_en/feature_films/sun/mnp_sun.html
http://www.youtube.com/watch?v=uXedhmfVln4
http://www.sbbit.jp/article/2062/