木曜日, 10月 18, 2007
そうここから
エレベーター内でうずくまっていると、こんなこと終わりにしようよと女子に告げられた。背中には何も付けていないから、羽交い締めにされるのも厭わない。 みんな実は必要とされたがっているんじゃないか。くだらないことを続けてしまった。こんなはずじゃなかったかもしれない。昇降音が唸る。いまは自分のこと を俺と呼んでみたい。そんな気分のときも、そりゃあ、ある。とにかく誰かと関係を持って、その前にひざまずきたい。とびきりに濃い目の黒い水を選ぶしかな い。だから、鍋で湯を沸かしておくのだ。いますぐに。さあいますぐに。噂なんて信じてはいけない。誰かが誰かを必要としていることを逆撫でしてはいけな い。笑っている。女子はどこかの階で降りていったようだ。個室にゆらめく青いガスの火を見ている。そのときから君と呼ぶことを覚えて、何でもなくなる。ひ ざまずいていた自分の姿を、火と重ねてみる。そんな言葉を消した。そんな言葉を消した。そんな言葉を消した。バンドの演奏がはじまるぞ。チューニングは とっくに終わっているし。スティックがカツ、カツ、カツ。君のための黒い水は、もういつでも入れられるようにしてあるよ。火を止めて、茹で卵を蒸らすテ ク。そう君が教えてくれた。ちょうどいいくらいの黄身になるんだ。エレベーターは行く。猫の仕事は眠ることだとも教えてくれたね。山の上より、そうここか ら。