途中まで片付けてあったスタジオをすっきり白く塗った。机上が明るくなって、これからまたたくさんの人と話す場にしていく。
今夜は落ち着いた曲をかけながら前世紀には忘れられていた瓶の日本酒を飲む。これを飲めば気付けなかったことへ向かえるかもしれないと思った。個室で夢を見ようとするが、壁にはあまりにも素敵な絵があって まるで砂浜みたいなので目をつぶってしまう。横になってからはシャッターを理由に歩き回る。クリスタルが浮いてパステルはしっかりと握られていく。指は丸い。爪先ばかり描く画家に、島でラジオを楽しむ画家を尻目にしたのち、夜へ近づこうと言って電気を消している。
指先と唇と一行の尾っぽ
夜景と砂浜と一行の寝息
窓のカーテンについてを書こう
紙は机の上を呼ぶ
文字は言葉を呼ぶ
月は朝早くならまだ見える
心をさえぎらない
映画をたくさん見たいと話している
この映画館はカーテンで作った
ぶらさがって爪が出た
君は出し入れできるのだ
眩しくなる前に
海に触れようとする