袋ではなく、箱を選ぶ。
メールボックスが入っていた段ボール箱を積み上げた。
この箱に言葉を入れていこう。
写真の向こうへ行く背中
紙の向こうへ行く親父
髪の向こうへ行く目玉
器の向こうへ行く水
台車に乗せてもやたら重い
カーブしたいだけ
机の上に広げた詩は
頭の中で向こうへ行く
父さん
彼女は人間だけれど
娘っ子だから守れと言うだろうか
それは夢なのか
夢の子は恐ろしい
可愛い顔をして目玉をむしり取る
串刺しになってもまだ動く
箱の中で転がり倒す
背中を押しつけて気持ち良さそうだ
缶詰は父さんが開ける
父さんが持ち込んできて
メールボックスは二度と開けない