火曜日, 8月 21, 2007

シャンプー

猫の鬱をシャンプーした。彼女がいままで生きてきたうちで、二回目となる入浴だった。彼女は家のなかにずっといるので、突然の夕立に打たれたりしたような 経験がない。ビショビショになって浴室から出たが、すぐに日向でゴロゴロし始め、グルーミングを入念に行っていた。数時間後にはそこで飲み込みすぎた自ら の毛を吐き出すだろう。すぐに乾いて、ふっくらした毛並みに戻っていく。彼女の今日一日の仕事は終わった。
近づくと、美容院の香りと、仏壇に立てられた線香の匂いがする。シャンプーを選んできた僕のセンスが非難された。いろんなその他のことに比べたら、たわい もない失敗だったので、気軽に流した。行いが蓄積され、いまの顔をつくりあげている。今日もその一部である。寝ても覚めても、世界中で事件が起こってい る。猫の鬱がシャワーの勢いで抜け落とした毛は、排水口の毛止めに溜まって、指先で掴める大きさになっていた。