ほほえみの国に向かう御一行様の一名は、更にほほえみを求めていてどこまでも追いかけるんだとやって来た。崩壊寸前の雑居ビルにボロアパートは、それを聞いて自癒本能を発揮し出す。
寝起きに冷凍庫の霜取りをはじめた。内壁にこびりついた、食べることのできない氷を剥がしとるために、できるだけ少ないお湯と短い時間できれいにしたい。 大型鋏をコンロの火で熱してから壁との間に差し込んでみる「ファイヤーソード!」と叫んでみるが、敵にはあまり効果が無かった。加熱補助の無いかたちで も、鋏での執拗な攻撃が一番いいようだった。お湯を部分的にかけて、そこからじわじわガリガリやる。溶け出すものは、何かのメタファーであると思えた。何 かのメタファーになり得る作業であった。霜の固まりがボゴッと剥がれ落ちる瞬間は実に呆気ない。急所を刺す一発まで、冷凍庫の中身と、上に置いてあった電 子レンジに小物類をよそに動かしておき、コンセントを抜いていた。早くしないと冷蔵庫の中身が危ないぞと自分を急かす。剥がれ落ちた敵のボディの固まりを 台所のシンクに並べ、手に入れた経験値を勘定しているとき、久々に西山氏が部屋に訪れた。足下が濡れていると思うと告げた。
彼より地元のお土産を頂き、先日の絵画教室の報告、作品のコンセプトについてを話す。新しく出たばかりの「あいどんわなだい」(銀杏BOYZ/2007)を聴かせてもらう。ジャケに写るちひろちゃん(?)を見ていると、すぐに喉がカラカラになる。
今晩の会に、西山氏も誘ったが、夜に別件があるからと帰り、iTunes には銀杏が残った。
ほほえみの国への前夜祭は、ぶっちゃけ壮行会で、取り締まり対象。純粋な根拠としての彼氏彼女自作との関係性が、はじめて語られていたように思う。
ミュートで流しっぱなしにしていたのは「ラブ&ポップ」(監督,庵野秀明/三輪明日美/1998)。
ほほえみの国へ行くには。
冷凍庫の中に潜んでいた憎むべき霜を倒しても、そのメタファーを効果的に引用しなければ、それは表現にはならない。でも、手続きに終止するだけのものは、姑息に感じられる。どこまでも ほほえみを求める者は、それ故にぶっ倒れていたのだ。
http://www.youtube.com/watch?v=iG5bMLgN7j4
http://www.gainax.co.jp/anime/pop/index.html