土曜日, 9月 22, 2007

そんなの

駅のホームで小学生が「そんなの関係ねぇ!」と振りをしていて、お母さんがやめなさいと言っても聞かずに「そんなの関係ねぇ!」と返していた。そりゃあや るだろうなぁと思っていたら、電車に乗り込むと目の前に居合わせた背広のおじさんまでやりはじめたから驚いた。「そんなの関係ねぇ!」向かいの席に座って いた OL風の女性がそれに返す。「そんなの関係ねぇ!」。必死の表情が笑いを超えて、痛ましく見えた。夕方の陽射しを受けて、車両内は皆、拳を地面へ突きなが ら上半身を斜めに身体を揺らしていた。僕は iPod をかけてやり過ごそうとしたが、次の駅で入ってきた乗客までもが 皆一様に「そんなの関係ねぇ!」だったのには絶句してしまった。誰もがそれぞれの「そんなの」を持っているのだが、それは「そんなの」に集約される。そし てそれを本当に振り切ることはできるのだろうか。皆目不明だが、いまここで しがらみを無しにする言葉を、言ってしまうことが面白かったのだろう。もはやシラケドリが飛んで行くのを眺めていられるほど、悠長な気はしなくて、拳で断 ち切って、イッチャッテしまいたい。いやあくまでも願望。いやもとい欲望である。これは。僕のすぐ隣で踊っていた女子高生のパンチで iPod からのイヤホンコードが引きちぎられた。すると震えんばかりに全車両内から響き渡っていた無関係意志の讃歌。大合唱となって、電車は真っ暗闇へ突っ込む。 ああこんなのに乗りたくなかった。無念でならない。自分にもしがらみが無いわけではなかろうが、いま踊りたくはない。声をあげなくても、関係は消えていっ てしまう気がしてならない。このアクションで逆に引き寄せて、関係をやり直そうとする叫びなのか。意識下に「そんなの」が君臨する。辛抱たまらなくなり、 ついに僕は・・!
吐いた。
辿り着く。

そんなのは深く関係しているぞなもし。