水曜日, 8月 06, 2008

今朝から今夜までのオフィスで

男は努力を理由にしていた。ビールを飲むことをいとわず、オフィスでの解放を求めた。窓のずっと向こうでは航空機が飛んでいるらしかったが、それ自体を撃 ち落としたという憶測も聞かれる。書店を出て、男は海が映っているディスクを手にしていた。いろんな物音が最悪のタイミングで鳴り響いた今朝。男はまだそ のディスクを探そうとは思っていなかった。それはノックと着信音とすすり泣きとドスの効いた教訓と過ちを認識したという脳内の切り替えスイッチの同時だっ た。次のコマでは立ち去る足音と鼻水の垂れる音、溜め息と無力な安堵に移行した。発泡酒とビールの区別がつかなかったなんて嘘だ。男は一人、オフィスでそ う思う。完全にすれ違いというかというと、そうでもなく、馬鹿げているわけでもない。言い分には筋が通っている。筋、すじとはなんぞや。移行した音たちの 背中を吊るす一本の規律か。音階に範囲を限定してしまえば、なんとも拙い。それらを全て無かったことにした業を未だ男は認識できずにいる。あらゆる影の前 に立ち、いまの生を語ることができたなら男は報われよう。発泡酒一本で、男はかつての科学者をぶん殴りに行く気持ちになってしまい、やがて撃墜されるかさ れないか。その前に、ディスクを読み込むのが先だ。読み込むのが。読み込むのが。読み込むのが。
オフィス・・。ここを解放せよ。男の中に建てられた仕様もない幻想の正論。全ては無かったことにされた。小さな裏切りさえも全て詫びることのできない朝に押し込められてしまった。
男、ならびにこれを読む、いや書く者は何を察し、何に成すべきなのか。分からない。分からないが、ひとまずは発泡酒を発泡酒として飲むことに尽くす。ビー ルは知らない。もう忘れた。彼女の顔も、全て、全て無かったことにされたのは何故だ。自然に、理由は無いと男は続けた。テレビは弾圧に負けてすぐに腰を折 ることを言う。いや理由は、男の努力により、いつどこで何がそうさせたかはもう知らないが、男が海の映っているディスクを手にしたことによる。もう、何の 努力も全て集結されるときになる。全てのあらゆる物音が無かったことになるか、恐るべき壮大な音響となって男を消し飛ばすかだ。男は消えたいと願ってい る。読み込むという存在だけになって、男が男たる由縁の、つまり理由に着陸するまでを数えている。それは不毛だと誰かが言うかもしれない。でもまた別の誰 かは何かが起こると期して待つだろう。そんなふうに広場は埋まっていく。オフィスからの窓で、朝も夜も無く、悲しいも嬉しいも無かった。男は読み込むため に、海の見えるディスクを手にしていた。それは男の見極めであり、努力であったろう。自然のなかでは理由など毛頭無かったのであるが。いや、男はそれを既 に周知していながらも敢えて私に述べたに違いないのだ。