金曜日, 8月 29, 2008

川に橋渡しをしながら、同時に国境線を意識する

「中華そば」と「ラーメン」は異なる。
伊勢から一時帰還してきた福岡氏は言った。今日も明日もどうやら雨だ。自転車を引いて家へ帰る。
勤め先は夕べ落雷したとかでブレーカーが逝ってしまっていた。中部電力が来てくれるまで直らないから皆帰ってと、管理職の方は苦笑いを浮かべて、携帯での やり取り忙しそう。夕べ、川になっていたコンビニではないが、安売りの処分品になっていたトルティーヤを開けて皆で食べる。オープンスペースの廊下に容赦 なく雨粒が叩きつけられている。
思ったより早く電気屋さんは来てくれて、復旧は完了した。皆、それぞれの仕事にあたることができて何よりだった。トルティーヤでは食い足らぬ僕は、チョコ レートひとつ買いにスーパーまで走っていってズボンの尻を濡らす。でもこんなときにサンダルは気楽でいい。もう穴が空いて限界だ。

そう、「中華そば」と「ラーメン」は違う。
「違う」と「異なる」も different である。
手話と日本語もまた隔てられた言葉であった。
川に橋渡しをしながら、同時に国境線を意識する。
大きな見解で、欲望すらも愛と呼び、細やかな情念を指の隙間から抜け落としていく。
九月になったら川は道に戻るだろう。
水平線の上にあった家も無い。
情念は排水路へ行ったのか。変電版でショートしているのか。廃棄弁当と化して空腹の果てに忘れられたのか。
福岡氏と、缶ビールと焼酎を数本飲んだ。
雨は降ったり止んだりを繰り返していた。