水曜日, 12月 05, 2007

文句は言わないが、融通は効かない

改札で定期を入れたのにゲートが閉まった。自動販売機で百円入れたのにボタンが効かない。お昼の食券も出てこない。紙コップのコーヒーは、紙コップだけ出てこずに流れ去った。自動ドアは開かず、エレベーターは緊急停止する。ケータイの電波はどこも圏外だ。パソコンは宿命として凍りつく。さっきから照明がチカチカしている。原発の管理システムが狂い出したのではあるまいな。ATM が万札しか入っていないと表示が出ているので、何もできない。交差点の信号は、歩行者ボタンを押しても押さなくても同じ。他の信号と関連を持たせてあるらしく、ここで待つ僕には何も目を向けない。デジカメの画素も足りない。テレビの出演者らには目を隠す黒い横線が焼き付き、VHS ビデオはすぐにカビを生やす。DVD はたくさんの時間をかけて、たったほんの数秒の映像を映した。LD はどうなのだろう。ケータイの無かった頃を思い出せない。果たして生活は豊かになっていたのか。手数料がまたかさむ。それが私があのとき感じた嫌な気持ちの、焦る気持ちの原因だ。電線も凍てつくほどの今夜。修理に出していたケータイが返ってきた。アドレス帳も無事で安心した。これはバックアップを取っておかなくては。これはいつ壊れるか分からないただの機械だ。それを以て愛せよ。