火曜日, 7月 07, 2009

次のコマへ視線を流せずに、幾重にも集積した彦星と、凝固せずとも美味しく頂いた織姫の朝まで

彼女たちは部屋に集って漫画を読む会を開いているらしかった。アイスクリーム製造機をアパートの冷蔵庫に入れて、締めは冷たく美味しくとの算段なのはさすがである。漫画の頁をめくる指先への力のかけ方、液晶ではなく感光ユニットが壊れたデジカメの扱いスイッチの入れ方ひとつにつけても、僕はなっていないとダメ出しをされる。萩尾望都の読み方ひとつできていないということは、高野文子も、大島弓子も全く読めていないよ貴方はとなんとも手厳しい。吉増剛造「キセキ」(2009)を見た後で、早く「ヱヴァ」の「破」を見たほうがいいと熱弁される。熱いのに嬉しくなり、作らなければいけないプリント類を一晩で完成に持って行く。冷蔵庫の冷え、ではなく何か粉を入れ過ぎたらしく固まらずに半液状の甘いものを舐めるようにして漫画の会は終わった。詩と漫画の会も終わった。手元には洗脳するよと渡された浅野いにおが二冊。部屋と机上と鞄の中と窓の向こう、どこに読もうと思っていたのを入れただろう。段ボール箱で仕切って、視線を解体する。朝までむさぼる日を持つ。