ひっきりなしに物事が押し寄せていた。常に人が関わり合っているのは、喜ぶべきことだと本当に思う。何もないけど何か話したりできるのは楽しい。それは気付いていないだけで、何かがあるのだ。
アニメーションとは 本来動かないことで成立している絵が 敢えて動き出しているものだと気付き、遊戯王の絵は「俺のターン!」と言い切ることで明らかになる家族の姿。耳を垂らしたままの犬も、眠気に悶えている猫も、みんな部屋で顔を合わせて、ああだこうだ言い合う私たちを見ている。
先日の宴で ねちゃねちゃと黒く汚れてしまったスタジオの床を 電動ポリッシャーで洗浄しようとした。
魚崎氏にも手伝いに来てもらって、格好いいところを見せようとしたが、高速回転するポリッシャーに振り回され 漫画のようにずっこけてしまった。それから力づくでブラシを押さえて格闘するが、ひどく疲れてしまうのでもう止めようと思っていた。別室で博士の出力作業に立ち合ったのち、スタジオに戻ると同僚の鈴木氏が鼻歌まじりで軽くブラシをさばいているではないか。聞くと、力ではなくハンドルの上下で左右の回転方向が変わるのに気付いたという。だからその上下の調節位置を感覚で把握すれば静止も移動も思うがままらしい。何っ!?と、交替し、言われたとおりに意識して上げ下げすると さっきまでの馬鹿力は嘘みたいに必要なく、楽ちんになった。ヘリコプターのホバリングのごとく 回りながら止まって、ピンポイントを磨き上げた。
反射をするほど明るい床が広がっていくのを見ていると、面白くなってくる。
水切りをして、雑巾で乾拭きし、机や椅子を運び込む。
新生スタジオがあらわれた。私たちのターン!と書いてみた。
喜ぶのは、それを呼べたときだ。目の前が軽くなる。