金曜日, 6月 23, 2006

侍ブルー

言葉遊びをしている場合ではなかった。中田英寿が目を隠している。朝六時、愛知県岩倉市某所。僕らは西山氏宅に集い、横型の液晶テレビを見ていた。
ベッドの上に散乱しているスナック菓子、コンビニより集められたこれらを、走り回ってビールを飲んで頭を回している。
遊びではなくて本気だった。Jリーグ出来て十年とちょっと。あの頃はサッカー選手と言えばチャラチャラしたイメージで、日本はやっぱり野球だとか冷たいこ とをよく言っていたっけ。整備しきられたマスコットキャラクターに違和感を覚え、J2だJ3だとか、どれだけ無尽蔵にチームが増えるんだよとか、文句ばか り、本当に自分は頭が固い。
「韓国はうまくやってるんだよ!」
帰宅後、就寝前につけたテレビ「スッキリ!!」(日本テレビ/2006-)でテリー伊藤がこう叫んでいた。ブラジル級の選手やチームをJリーグに呼んで、 ハイレベルなサッカーをもっとして、選手だけでなく観戦する側のレベルを上げなくてはいけないと。僕らが野球にあれだけ文句を言うのは、試合やプレイを見 る目が肥えているからなんだと。
これにはすっきりさせてもらった。いままでただ煽っていただけの盲信的なマスコミの踊り文句は、サッカーを語るレベルが低いからであった。ああだこうだと 言うこと自体で日常的に楽しめる日が近くなるかどうかは、Jリーグ次第、見直されているという「toto」次第だ。「ワールドカップでサッカーに興味を 持ってもらって良かった」なんていうお決まり文句で終わったら勿体ない。
同じくアートを語るレベルも低く、文化にどうこう語る喜びについても類似していると捉えることができる。これは何次第なのか?アートプロジェクトだとか言って、がやがややっている自分にもあろう。サッカーを楽しんで盛り上げるのも同じく。

テレビカメラはずっと、倒れたままの中田を見ていた。黄色のユニフォームで目を覆う沈黙。四年間が、短いのか長いのか。中村俊輔のインタビューがキレそうで良かった。
川口は無かった。キレていて手がつけられないんだと、冗談ではなく本気で。
中田が起き上がる背中をバックに、NHK であるから、中継放送の「終」というテロップが表示される。あまりにも完璧すぎる映像構成に驚く。

あとはシンドロームな一日であった。
入れたときは最高。
入れられたときは最低。