水曜日, 7月 19, 2006

正義と嘘

何をするにも短く、ほどほどにしてしまった行動で終始してしまったのは、昨晩ブログの日記を書き上げて眠ったところに、目覚めて更新をしようとしたら、まだ保存していなかった為に全てが消えてしまったことに端を発する。
そして今週はずっと雨だ。極楽とんぼの山本が未成年の女子と淫行をして訴えられ、吉本をクビになった。夜には、その事件を受けて欽ちゃんの社会人野球団 「ゴールデンゴールズ」が解散すると報じられたのを知った。「野球は好きだけど」という欽ちゃんの言葉が正直さを表していた。朝のニュース番組では、極楽 とんぼの加藤が泣きながら謝罪をしていたらしい。僕は裏の小倉さんが出ている番組で知ったので、これは YouTube で知った。残酷ながらダウンロードする。一度、思いとどまり、中断したが、少し考えて再開した。この涙の挨拶は彼の芸能生活史上、最も辛い瞬間だったろ う。
欽ちゃんは下ネタを絶対にやらないし、正義の人である。

僕は嘘をひっくるめて言葉について考えていた。
相次いで出版されたり、立ち上げられる日記本やブログを眺める。人は自分が見ている方向を見ていたい。
ちょうどレンタルで彼女が選んだ DVDが、この「嘘」について軽やかに魅せてくれた。彼女は途中で寝てしまったので、僕ひとりだけで最後まで見た。
前に借りてきた「真夜中の弥次さん喜多さん」(監督,宮藤宮九郎/長瀬智也、中村七之助/2005)はそれぞればらばらに見たのだ。でも感想はどちらもい まいちと一致した。テレビ枠ではなく、制限無く制作できたことが裏目に出たのではと僕は推察した。(クドカンはもっと切れ味があって面白いはず。途中、見 ているのがしんどくなってきてしまっていた。)
なので、今夜は並んで ぜんざいなどを食べながら見ることができたけど、遅い時間ということもあってそうなった。
YouTube の見過ぎになっていた僕の目には、映画の画面がとてもキレイに映った。
いや実際に、この映画は美術もカメラワークも、全てがキレイである。
「蛇イチゴ」(監督,西川美和/宮迫博之、つみきみほ/2005)という映画。
僕はなかなか選べないけど、僕が大ファンの つみきみほさんが出ていたので嬉しくなった。また、とても彼女が良い。僕は「愛はどうだ」(緒方拳、清水美沙、福山雅治/TBS/1992)のときから好 きである。緒形拳が妻に先立たれた男親で、子供が三姉妹という田村正和が広末らとやっていたドラマの前例となったようなドラマで、彼女は三姉妹の真ん中 だったと思う。福山雅治の俳優デビューだったような記憶がある。
この映画も家族の話なので、前半はその印象が先走って興奮するが、落ち着いた画面と重くならない音楽の組み合わせが気持ちよく、この西川美和監督の世界に入っていった。プロデュースに是枝裕和監督というのにも納得した。一場面、一場面の感触が美しく、素晴らしかった。

僕は、自分が持っていない要素として羨望観を持ちながら、00年代のカルチャーのキーワードは「軽やか」ではないかと考えている。「軽い」ではない。内容 が薄っぺらいのではなく、単純ではなく陰湿で複雑な問題を内包しているから「重い」のだ。だが、表面に出されてくるテクスチャーは、その「重い」を鬱蒼と 出してくるのではなく相反するように「軽やか」なのだ。「爽やか」と言葉の選択を迷うが、これだと青春めいた正しさを示しているかのような印象を受ける。 「軽やか」な表現は、こうあるべきだと強制を施さない。全ては自由自在に転がっているままにあると、前に置かれるだけだ。

正義や嘘、これらを思いながら「軽やか」というキーワードも思い出した。
そういえば是枝監督の「花よりもなほ」(監督,是枝裕和/岡田准一、宮沢りえ/2006)でも、この正義と嘘を多く思わせた。

彼女は嘘やでたらめを憎んでいるのか。
男は大切なものの為に嘘をつき、泣きながら老いる。

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