日曜日, 7月 30, 2006

図書館、映画館、電車で眠る酔っぱらいと同じ格好

この町内にてもうひとつの夏祭りが開催されている。
西図書館に行く。
一年に二回ほど行われる「ブックリサイクル市」だ
この会場に入ると、本好きは腰を抜かしてしまう。僕は、大学に在学中の頃から通い続けていてこれで三回目になる。
図書館が不要になった本を、一人十冊まで無料で貰えるというもの。雑誌類に人気が集中するらしいが、それだけではない。この図書館が抱える人文書、科学、芸術、歴史資料の類いは幅広い。何より天文学類に関してが多く、星の位置を記録した数値表や月の暦報などが大量にある。
これらを前にして、打ち震えながら物色していると、一人十冊までという張り紙が「何冊でもご自由にお持ちください」と書かれた紙に張り替えられるのだから更に悶絶させられる。いつも友人周囲に凄いぞと宣伝している祭りなのだ。

今回は真坂氏に車を出してもらい、昼からの出陣となったので、着いた時には既に冊数無制限の無敵状態になっていた。「1-1の出発点からスターでピカピカ光ってるぜ〜っ!」と、頭の中にマリオがスターを取ったときの音楽が鳴り続ける。
あるわあるわのバカスカ、本採集。持ちきれないので机の端に積ませてもらって、更に回る。会場は広く、見落としたタイトルも多いのだ。一緒に来た面子も無言で本の背をチェックしている。
みんなが集まってくるまでの間、先に会場に来ていた川口さんとロビーで久々に話した。言葉自体が目的であるような会話だった。彼女は既に本を貰っていて、茶色のアミアミで伸び縮みする袋に入れていた。
こんなに放出してしまって、この図書館は大丈夫なのかと毎回思う。おそらく借りられている数、即ち人気度などから選ばれているのだろう。今回は市に合併し てから初めての放出だから、そこらへんも絡んでいるのかもしれない。旧西春町図書館のときは、天文学に力を入れるというコンセプトがあったはず。それが薄 れてきているとしたら、なんだか勿体なくも思う。このブックリサイクル市は大好きだし、本の収蔵量の限界もあろうが、図書館に置いておかなければならない 本もあるはずだからだ。
まぁ、若造にとやかく言われるほど馬鹿なこたぁない。この会場で受付の図書館職員に
「この本は図書館に置いておいて下さいっ!」とけしかける客はおそらく居ないが、そんな再現ならぬ未現VTR を想像してしまった。
僕らは一人三十冊余を手に入れ、ほくほく顔で戦果報告をまたロビーでし合った。リサイクル市会場の手前がロビーになっており、ジュースの自販機とテーブルに椅子、朝日新聞のニュース掲示板などが置かれている。
さっき持ちきれないからと会場内で机に本を積んでおいたとき、他の私物も置いておいたのに、つばのついたキャップを被った男にそれを物色されていた。福岡 氏がヤバいと教えてくれたが、僕自身は何故かことの成り行きに任せようといってそれを止めなかった。おかげで蛭子さんと ひさうちみちおの漫画が抜き取られてしまっていた。だが夏目房之介は残っていたので、まだまだ甘いなとひとりニンマリしてしまうのであった。

部屋に本を運んでもらってから、今度は単身で名古屋市内に出たりする間「何故、あのとき事の成り行きに任せるなんて言ったんだろう」とずっと思い返していた。だがその答えは分からなかった。

伏見のミリオン座にて、またもや浴衣売りのバイト帰りである彼女と映画を見た。彼女が浴衣を着ていたので偶然にも安く入ることができた。そんな浴衣キャン ペーンサービスの明記はネットにもどこにも載っていなかったと思うのだが、ラッキーだった。オレンジジュースとチョコレートドリンク(これは僕に)を買っ て館内へ。これら飲食物の値段が安めな気がした。

レイトショー、「ゆれる」(監督,西川美和/オダギリジョー、香川照之/2006)を見た。
僕には弟が一人居て、実家にいるので、それを思い出し続ける鑑賞となった。自分の家族についてのことを置いたままで、この映画については語れないと思った。
どこにでもあるのだけれど、見つめられることはなく流れていく、心の露になった姿。実際の家族は、これらを通り過ぎていく。家を去る者も、家に残る者も、どちらも責めることはできなかった。
分かることと、分かろうとしないこと、その間でゆれるという言葉も必ずかかってくるのであろう。オダギリが主人公で、彼は心が露にできるところへ向かっていった。
穏やかで賑やかな映像が奇麗だった。甘さがちょうどいいケーキのような。適切具合。

映画の前に、ドイツ行きの餞別だと彼女に靴を買ってもらう。黒のバンズのハイカット。頑張って色のついた紐も買ったけど、部屋に帰って畳の上で履いたら、先日の夏祭りの中ガキ生みたくお洒落してる感剥き出しなので、取りやめて普通の白い紐にした。
想像力が足りないぜ。買い物への免疫力がますます落下の極地だぜと我ながらしつこい。
貰ってきた本のうちの、数冊は彼女の仕事に良さそうなチョイス。
ダイアン・アーバスの評本は、写真が少ないからやめようと戻したら、速攻、真坂氏にゲットされてた。福岡氏も、部屋の置き場所がと言いつつも三十冊いってたぞ。
また、映画のストーリー読解力の低さ具合も露呈するときは、帰りの電車の中で、僕は横で体を広げて眠っている酔っぱらいと同じ格好をしていたそう。

http://www.city.kitanagoya.lg.jp/tanoshimu/tosyo/index.shtml

http://www.yureru.com